『しのびよるネオ階級社会 "イギリス化"する日本の格差』(林信吾)感想

イギリスで"成り上がった"筆者がアイロニカルな筆致で描いています。読んでいてとても楽しい。


「エデュケーション・デバイド」が日本で起こりつつある、と述べています。イギリスで階級を1つ上げるのに三世代かかるという言を信じれば、戦後日本ではそろそろその時期(=階級が固定する時期)なのかもしれません。昨今の「勝ち組、負け組」論の裏付けにもなりそうです。


教育問題に政府が無関心なのもそのせいでしょう。つまり、いわゆる高学歴の人間がそれを固定化して子孫代々繁栄するように、わざと公立教育を荒廃させる。自分たちの子供は私学に入れてしっかりとした教育をうけさせる。ただし(日本は国立>私立の図式が当てはまる珍しい国ですので)私学の高等教育機関には興味が無いようです。私学助成について、5割が目標と国会決議があるにもかかわらず、現状は1割超です。国会議員年金とか公務員の無駄遣いに回す金があったら教育にも金を投じて欲しいものです。


個人的5段階評価ではA。