『嘘だらけのヨーロッパ製世界史』(岸田秀)感想

嘘だらけのヨーロッパ製世界史

嘘だらけのヨーロッパ製世界史

本書は5つに分けて考えることが出来る。
・バナールが『黒いアテナ』で行った主張について
・『黒いアテナ』への批判について
・バナールの反駁について
・上記3点についての筆者の推測(○○はこう言いたかったんじゃないか、など)
・筆者の主張
これが渾然一体となって繰り広げられているために、誰の意見なのか不明のまま放置されていることが多い。特にバナールの主張と、筆者の推測や主張が混濁していて学術書とは思えないほどである(筆者も自覚的ではあるが、だからと言って免罪されるわけではない)。まあハードカバーで1600円という価格からも学術書とは思えない雰囲気が漂ってきているが。
部分部分は面白かったり、新しい(=私の知らない)視点からのツッコミで非常に良いところもあるが、各論・総論でみると良くない。

★★★★☆