『ちーちゃんは悠久の向こう』(日日日)感想

作者の名前は日日日と書いてあきらと読むそうです。数々のラノベの新人賞を総なめにしている現役高校生らしいです。そのことに興味を持って、まあどんなのかなぁと買ってみました。


個人的に嫌いなストーリーでした。私はぬるま湯のストーリーが大好きです(笑)
涼宮ハルヒの憂鬱」の亜種と言えばいいのか。「セカイ系」小説の亜種と言うべきなのか。
涼宮ハルヒの憂鬱」では主人公はセカイの救世主というか、セカイの命運を握る人物なのだが、「ちーちゃん……」では、主人公が親しい人の命運を握っている、という感じです。しかもそれが作中に何度もほのめかされて幻滅。
そして、そのセカイは愛の力に左右されるんですね。お決まり過ぎて嫌になりませんか。


さらに言えば、「セカイ系」小説では、絶えず主人公やその周辺の人間に死の影がまとわりついています。そして簡単に死にますよね。主人公ですら。
私は死に臨むような体験はしたことが無いのでえらそうなことは言えないんですが、そんなに死にたいのかと思ってしまいます。


こう考えると、みんな『真実の愛』と『真実の死』に渇望して、マスコミにのせられてペをおってみたり、また宣伝にのせられて愛する人が生き返る映画や小説を求めたりしている世相が透けて見えてきませんか。


いやですよそんなの。キモチワルイ。生理的に受け付けません。世の中に真実なんてあるんですか。


全ての物は劣化します。成長するものだって、作るスピードが劣化を上回っているだけ。
日本という国も、マスコミも、また食いかけのパンも、冷蔵庫の中のキュウリも、成長しなければ、『その先にあるものは緩やかな死』であるわけで。


最近の事件や小説、劣化を拒む手段が成長ではなくて爆発のような気がしてなりません。病気だよそんなの。


個人的5段階評価ではDです。