三輪宗弘『太平洋戦争と石油』

久々の感想文である。
現在、大井篤氏の『海上護衛戦』について数人で勉強しており、その参考資料。

まずもって、序章「問題の所在」が素晴らしいと思う。
私は、受験生時代に関谷浩の『古典文法入門』(駿台出版)の「はしがき」を読んで以降、その本のはじめに書いてある筆者の意気込みからその本の良否を推し量ってきた。良い本、読んでいて知的に興奮する本は、とにかく筆者が野心的である。例えば河内祥輔の『保元の乱平治の乱』と元木泰雄の『保元・平治の乱を読みなおす』の二人の応酬。読んでいてこれほど愉しいまえがきもあるまいと思われる。

ともかく。
この本を読んで改めて感じるのは、「未だ戦後なり」ということ。
太平洋戦争についての総括を行い、そして現実に対応する手段として軍事学地政学を民間レベルで研究すべきであろう。憲法自衛隊の問題も解消すべき。自衛隊を解散する術などないのだから、自衛のための戦力として自衛隊を位置づけるべきだろう。その前提が太平洋戦争の総括である。その役目を、歴史学者は負うべきなのかもしれない。