『幸福な遊戯』(角田光代)感想

幸福な遊戯 (角川文庫)

幸福な遊戯 (角川文庫)

表題作『幸福な遊戯』他『無愁天使』『銭湯』を収録した短編集。


『キモチワルイ』作品でした。

この『キモチワルイ』という表現は、決しておぞましいという意味ではなくて、胸にモヤモヤドロドロしたものを残す、という意味で使いました。また『キモチワル』さにも違いがあり、『幸福な遊戯』『無愁天使』のそれと『銭湯』のそれとは全く異なった感情でした。


前二者のそれは、「理解できない」ことから来るものだと分析しています。まず登場人物たちの行動が不可解で(時代が違うことも関係あるのかもしれませんが)、リアリティが感じられなくて、地に足がついていないような浮遊感があります。それに『幸福な遊戯』のラストは何を意味しているのかまったく理解できませんでした。『無愁天使』の方はなんとなく理解はできますが、想像するのは難しいです。


後者のそれは、単にリアリティがありすぎて『キモチワルイ』です。怖い、と言い換えた方が良いかもしれません。好き嫌いで言えば嫌いですが、良い小説であるとは思います。


個人的5段階評価ではB。『銭湯』だけで。

(2005/07/22)