小説版『攻殻機動隊』シリーズ全既刊感想

好きなだけでマニアな段階では無いので、例えば『攻殻機動隊』という名前の由来や意味を知りません。GHOST IN THE SHELLにかかっているのかなぁとは思っています。
アニメ本編でも2nd GIGで草薙が1度『我々は攻殻機動隊だ』と言い、所轄(県警)の1人が『攻機だよ』とひそひそと会話を交わしていたシーンから、確たる(?)別称なのでしょうけどね。


今回のレビューはアニメ版『攻殻』の脚本の一員・藤咲淳一による『虚無回路』『凍える機械』『眠り男の棺』の3作。読了してはいたのだが、個人的に忙しく、今日になった。


軟体動物みたいだ、と表現することにする。特に背骨が無い。映画『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』やテレビシリーズ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』、『同 S.A.C. 2nd GIG』には、それぞれ「人形遣い」「笑い男」「個別の13人」という、ストーリーに一本すっと入った筋があった。しかしこの小説群にはそれが無い。外伝的な位置付けだと言われおゆが、外伝だからこそ可能なこと(本編の補完など)をしているとも思えないため、その批判にはあたらないと考える。


もう一点個人的なことだが、音楽がないとこれほどまでのハンディを背負うとは考えが至らなかった。テレビアニメシリーズの音楽を作っている菅野よう子が、絵では伝えきれない臭いなどを伝えたい、ということをインタビューで語っていた。この小説群では、アニメでは感じられた時代の閉息感や澱んだ空気といったものが感じられなかった。


個人的5段階評価ではC〜D。