『太平記の時代』(新田一郎)感想

太平記の時代 (日本の歴史)

太平記の時代 (日本の歴史)


久々の書籍感想。面倒なので最近書いていないのだ。
というか備忘録的に引用して終わりそう。


南北朝って後醍醐と義満に挟まれて、高校日本史の教科書だとすっごいちっちゃい扱いなんだけど、かなり面白くて笑える時代なんだなーと感じた。
京都を占領する度に衰弱する南朝とか、南朝についてるけど大義名分振りかざす北畠くんに見向きもしない小山くんとか。


忘れたくないのは、徳政についての以下の記述。ちょっと長いけど。

……それぞれの現場において不断に生成される現実を次々に繰り込み不断に変成を繰り返す作法に対して、かつて存在した「正しい」さまを対置することによって、現在の作法の「正しさ」を問い直すことが、しばしば試みられた。それが徳政である。徳政は、秩序存立の「正しさ」を映す鏡としての過去を、現在と対峙させ、過去をモデルとして現状を語り直す営みである。この場合の「かつての正しいありさま」は、過去のある具体的な時点において実際に存立したものでなく、現在の視点から呼び出された擬制的なものであってもよい。要は、「かつての存立」に仮託してモデルを示すことである。徳政というと、「戻り現象」という側面が強調されがちだが、実は「戻ってゆく先」を措定することこそが、重要なのである。
 新田一郎太平記の時代』(講談社、2001年、日本の歴史11)

ページ数を控え忘れた。なんて失態だ。